2009年3月5日木曜日

服部まゆみの本が入手できなくなるのは悲しいね

銅版画家でもあり小説家でもあった服部まゆみさん。もともと寡作な小説家で、過去の作品は手に入りにくいものでした。2007年夏に服部さんが亡くなったことで、最近の作品まで入手困難になりそうです。webKADOKAWAで検索するとどの作品も「品切れ 重版未定」となっている。

いいのかよ。『この闇と光』が読めなくなるなんて、残念すぎる。

この闇と光 (角川文庫)
服部 まゆみ
角川書店
売り上げランキング: 258426
おすすめ度の平均: 4.5
5 独特の美の世界へと誘ってくれた感謝を込めて
5 傑作です。
4 果たしてどちらが「闇」か「光」か
5 闇の中で光る、私たちの「王国」
5 闇が誘導する世界と絵画的「美」


偉そうに言ってますが、昔からのファンではありません。
北村薫など小説家仲間から高く評価されているという話を聞いて、読み始めた程度です。そして何冊目かで『この闇と光』に出会った。

暗闇の世界で生きる盲目の「レイア姫」。「お父様」は優しいが、家のすべては恐ろしい「ダフネ」が取り仕切っている。ダフネに怯えながらも、たまに帰宅する父と過ごす時間は何より幸せな時間だった。しかしその幸せがある日突然崩れる。同時に、読者も目の前で世界を破壊されてしまう。そこから先は呆然として読み進むしかない。

この人の小説をもっと読みたい―。そう思って過去の作品も買った。『レオナルドのユダ』はハードカバーを新刊で買った。社会人になって本に費やせるお金が増えて「早く新刊を」と思っていたら、服部さんは逝ってしまった。そして今、その著作も動きを止めようとしている。どこかが過去の文庫を復刊してくれないかな。創元推理文庫では、ちょっと色が違うか?

0 件のコメント: